〆はイタリア子連れで

金沢最後の夜。

宿を変えて、ちょっと贅沢な旅館に泊まりました。でも夕食付きではなかったから、食事処を探したのだけれど、どのお店の暖簾をくぐっても予約でいっぱい…

「寒いし、もう何処でもいいよ…」

そして、ふと目についた中華料理屋。扉を開けると、客は誰もいない。女性のご主人が、お一人。
廊下のような造りで狭く、10人で満席になる程の小さな店でした。

「奥の席以外なら何処でもどうぞ」

あぁ、やっと食事にありつける。ほっとして座りました。

味には特に期待していなかったのだけれど、丁寧に調理されたことが分かるお皿は、なかなかどうして!

よだれ鶏、水餃子、大根もち、つくねの黒酢あんかけ…

九谷焼の小皿で供される料理を楽しんでいると、入り口の扉が開いて、外国からの男性が顔を覗かせました。

「2人… 子供も1人います…」

女主人は、一瞬躊躇った様子でしたが、「どうぞ奥の席へ」

「アリガトゴザイマス」

彼はカタコトの日本語でお礼を言って、(助かった…)という表情を見せました。

それは若いカップルで、小さな女の子を連れていました。乳母車を畳むお母さんの顔も疲れ切っている。あぁ、きっと彼らも店探しに苦労したんだな。しかも子連れだもんな…

最初は北欧の人たちかな、って思っていたのだけれど、しばらくすると女の子の言葉が耳に入って来ました。 

"Questo..." "Bene..."

(ん、イタリア語?)

ビールが運ばれてくると、若いお父さんが嬉しそうに、"Oh finalmente..."

(あ、やっぱりイタリア人だ…)

最初は言葉少なだったご両親、

その後、次々に料理が運ばれてくる毎に、徐々に明るい笑顔になって、会話も元気になってきました。

団欒を邪魔せずに放っておこうかとも思ったけれど、頃合いを見計らって、やっぱり話し掛けちゃった…

「日本の旅は如何?」

突然の僕のイタリア語に、彼らはちょっとびっくりした表情をしながら、

「最高よ!」

聞けば、ガルダ湖近郊に暮らすという。

25日間の日本旅行の最中で、これから後半戦なんだって。へぇ、25日は長いねえ!しかも、2歳半の子供を連れての旅!

僕たちも子連れ旅行をたくさんしてきました。

特に思い出されるのは、やはり、初めての子供である長女が小さかった頃の旅。

あんなこと、よくやったよなあ。旅行どころか、日本を捨ててイタリアへ行っちゃった。携帯もインターネットもない時代に、2歳の子を抱き抱えて。

彼らの姿に、あの頃の自分たちを重ね合わせ、郷愁感に包まれた…

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金沢の旅は、この「イタリア子連れ放浪記」にふさわしい締めくくりで幕を閉じたのであります。

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Commented by t_hcmoto at 2024-11-21 11:22
いいお話…‥涙出そうです😭
Commented by kotaro_koyama at 2024-11-21 15:34
> t_hcmotoさん
嬉しいお言葉です…
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by kotaro_koyama | 2024-11-21 09:38 | 日本放浪 | Comments(2)

主夫と生活、ゴルフのこと。


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