イタリア離婚狂騒曲 第三楽章
2024年 09月 26日
2021年秋に始まった、長女のネバーエンディングストーリー。
3年の月日を経て、ようやく一つの区切りがつきました。
昨日、裁判所から判断が下されたのです。
争点の中心は、何と言っても4歳になる子供の親権に関するものでしたが、多くの点で娘に有利なものとなりました。
判決の要旨は、
別居を認定する。
双方の独占的親権要求を却下する。
子は母と同居すること。母子の他州への居住地移転を認める。
別居に係る父親からの慰謝料請求を却下する。婚姻関係破綻の原因は双方にある。
子の養育に関する選択/決定は、すべて母親の一存で行うことができる。ただし父親への報告を怠らないこと。
父親は、隔週で月2回、木曜19時から日曜17時まで子に会うことができる。
父親は、毎晩19時、10分間のビデオ通話ができる。
父親は、月350€の養育費を支払うこと。
母親は、国からの養育費補助金を全額受給できる。
子の、イタリア国外出国を禁止する。
13ページに渡る長い判決文を読むと、それは非常に公正な判断だと思いました。
ここには書きませんが、夏休みやクリスマス休暇、子の誕生日の過ごし方についても細かく命令が下されています。
「別居認定」「慰謝料」「居住地選択の自由」「親の責任」「子の養育」… その中で、特に多くの頁が割かれていたのが、「親の責任」でした。
冒頭、僕は「親権」という言葉を使いました。そして、世間でもよく「親権争い」という言葉を耳にします。
でも、ここイタリアの法律の考え方は違います。親にあるのは、子を持つ「権利」ではなく、子を持つ「責任」なのです。
「権利」があるのは、あくまでも子供。親を持つ、親に会う権利。"普通"に育つ権利…
何の罪もない子供が、生まれながらに有する、当然の権利への尊重なのです。
娘は、本心では、子供から父親を完全に取り上げるつもりはありませんでした。独占的親権要求は、あくまでも裁判の為に主張しただけで、それは今でも無いはずです。
たとえ日本へ子を連れて行ったとしても、約束を守り、ちゃんと帰ってきて父親に会わせるでしょう。
でも、子供の国外への出国は認められませんでした。判決文の中では、近年問題になっているような、母親による子の持ち去り、逃亡のリスクは明記されていません。でもその危険が考慮されていることは明白です。
裁判所による、正式な別居認定。
これはあくまでも別居であり、まだ離婚したわけではありません。その裁判はまだこれから。正式に離婚が認められるのは、この時点から平均一年位かかるらしいのです。
この狂騒曲の最終楽章を聞くことができるのは、まだまだ先になります。

判決文の中に、「双方共に、親として成長するよう努力すること」という一文がありました。
その言葉、親である二人に、重く受け止めて欲しいと思いました。


一条の光が見えたようですね。
あと1年余りの辛抱。
頑張ってください。
あと1年余りの辛抱。
頑張ってください。
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> Keikoさん
んーーー、住む場所の自由は保証されて、一歩前進ではありますが、ペルージャ/サッサリを隔週で子連れ往復するのは現実的ではなく… 皆で、より良い答えを模索中です。
んーーー、住む場所の自由は保証されて、一歩前進ではありますが、ペルージャ/サッサリを隔週で子連れ往復するのは現実的ではなく… 皆で、より良い答えを模索中です。
by kotaro_koyama
| 2024-09-26 00:09
| 長女の話
|
Comments(2)