ちょっと、がんばって、日本
2024年 08月 18日
その昔、ある旅行会社の為に働いたことがあった。
それは地元ペルージャにある小さなツアーオペレーターで、その社長が、「日本市場に参入したい」と接触して来たのだ。
既に別の仕事をしていたし、観光業には何の縁もない僕だったが、エネルギッシュな彼の勢いに押されて、手を貸すことにしたのだった。
「ツアーオペレーター」だから、対象となるお客は、旅行代理店である。そんなお客たち、つまり日本の旅行会社は、既に世界の市場の大半を牛耳っている大きなオペレーターと仕事をしていた。
無名で、何の実績もない彼の小さな会社が、その隙間に入って仕事を取ろうっていうのだから、それは大それた話だった。
僕は、右も左も分からないまま、遠く日本へ売り込みに行った…
会社紹介と共に、こんなパッケージツアーは如何ですか?と、幾つかの旅行提案をしたことを覚えている。
「ZigZag Italy」っていう、自画自賛なタイトルをつけた企画…
「トスカーナとウンブリア」- 中部イタリアの小さな宝石を探しに - だったかな… もうよく覚えていないけれど、そんな副題をつけたものもあったな…
「I borghi più belli d'Italia(イタリアの最も美しい村)にも選ばれているBevagna - べヴァーニャ- そんな、小さな宝石のような村を訪ねに行きませんか」みたいなことを書いて。
行ったこともない場所を、知ったかぶりをして、旅行提案の日程に組み込んで、懸命に売り込んだっけ…
昨夜、そのべヴァーニャを初めて訪れた。我が家から車で40分程なのに、今の今迄、行ったことがなかったのだ。
海から、そして日本から遠く離れたこの村の、ちょっと洒落た海鮮レストランで食事をした。
シェフは、我が祖国の味にインスピレーションを得ているらしく、
メニューには、わさび、ダイコン、ゆず、鰹節、の文字が並んでいた。
知りもしないこの村を、胸を張って日本へ紹介しようとしたあの頃を、懐かしく思い出した。




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by kotaro_koyama
| 2024-08-18 16:16
| イタリア暮らし
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