千羽鶴に願いを
2024年 02月 26日
Keiの彼氏、シモーネが、大きな手術を控えている。

執刀は、10日後、ミラノで行われる。
先天性で、原因不明の、心臓の病気を持つ。突然、脈が遅くなり、気を失ってしまうのだ。
今まで、何度も気を失って、これまでは助かってきた。でも、下手をしたら、その発作から死に至る可能性もあると言う。
話を聞く限り、調べた限り、不整脈の一種「洞不全症候群」だろうと思う。
心臓の動きをモニタリングする器械を胸に埋め込み、薬を飲んで暮らしてきたけれど、この度、手術を勧められたのだった。
とは言え、医者は、「上手くいく保証はない、これは一か八か」とはっきり口にしているらしい。それでもシモーネは手術成功に賭ける覚悟を決めたのだ。
彼の無事を祈って、Keiは、千羽鶴を折ることを決めた。
千羽鶴のこと、どこで知ったんだろう。教えたことあったかな…
手術はもう目前に迫っている。
「千か… 間に合うかなあ」
「調べたらさ、千羽って沢山っていう意味で、別に千なくても良いみたいだよ。数より気持ちが大事なんだよ…」
「ふぅん… いや、でも折る。絶対、千羽!」
一度やると決めたら、絶対。それが彼女の信条なのである。
昨夜、「どう、折り紙の調子は?」って聞いたら、
この写真を送ってきた。
友人と一緒に、そしてシモーネ本人も、一緒に折っているのだと言う。
Keiが独りでやるよりも、その方が良いな、と思った。

彼本人はもちろん、Keiの気持ち、
鶴を折りながら横切る不安、それを打ち消そうとする気持ちを思うと、胸が締め付けられる。
by kotaro_koyama
| 2024-02-26 04:22
| イタリア暮らし
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