千羽鶴に願いを

Keiの彼氏、シモーネが、大きな手術を控えている。

先天性で、原因不明の、心臓の病気を持つ。突然、脈が遅くなり、気を失ってしまうのだ。

今まで、何度も気を失って、これまでは助かってきた。でも、下手をしたら、その発作から死に至る可能性もあると言う。

話を聞く限り、調べた限り、不整脈の一種「洞不全症候群」だろうと思う。

心臓の動きをモニタリングする器械を胸に埋め込み、薬を飲んで暮らしてきたけれど、この度、手術を勧められたのだった。

とは言え、医者は、「上手くいく保証はない、これは一か八か」とはっきり口にしているらしい。それでもシモーネは手術成功に賭ける覚悟を決めたのだ。

彼の無事を祈って、Keiは、千羽鶴を折ることを決めた。

千羽鶴のこと、どこで知ったんだろう。教えたことあったかな…

手術はもう目前に迫っている。

「千か… 間に合うかなあ」

「調べたらさ、千羽って沢山っていう意味で、別に千なくても良いみたいだよ。数より気持ちが大事なんだよ…」

「ふぅん… いや、でも折る。絶対、千羽!」

一度やると決めたら、絶対。それが彼女の信条なのである。

昨夜、「どう、折り紙の調子は?」って聞いたら、

この写真を送ってきた。

友人と一緒に、そしてシモーネ本人も、一緒に折っているのだと言う。

Keiが独りでやるよりも、その方が良いな、と思った。

千羽鶴に願いを_d0036978_17440440.jpeg

執刀は、10日後、ミラノで行われる。

彼本人はもちろん、Keiの気持ち、

鶴を折りながら横切る不安、それを打ち消そうとする気持ちを思うと、胸が締め付けられる。

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by kotaro_koyama | 2024-02-26 04:22 | イタリア暮らし | Comments(0)

主夫と生活、ゴルフのこと。


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