涙のビラ配り

今週、世間では新学年が始まったようである。

我が家の子供たちが全員、高校までを終えた今、僕にとって学校のカレンダーは全く関係のないものになった。朝の送り迎えも無くなって楽ちん… と思っていたのだが、突然、

「パパ、明日の朝、7時に高校へ連れて行ってくれる?」

とRiki。何かと思えば、朝の登校時間に合わせて学生運動のビラを配りに行くのだと言う。6月に高校を卒業した息子だけれど、学生組合の幹部になって活動を続けているのである。

事あるごとに、子供達に「何か一つのことに頑張れ」と言う僕だが、彼にとってはこの活動こそが、その「頑張っていること」らしいのだ。ほぼ毎日のように組合仲間、幹部たちと会合をしている。なんでそんなに時間を取られるのか理解できないが、今の学校の問題点を話し合ったり、デモを企画したり、ポスターや横断幕を作ったりしているのだろう。

その、配りに行くというビラ。見たら、

「君も学生の権利を知って、学校をより良いものに変えていこう」

そんなスローガンと共に学生の権利が要約されていた。新学年が始まった今週、朝の登校時、手分けをして各学校へそのビラを配りに行き、学生達の意識を呼び覚まそうと言うことらしい。

何が書いてあるのかよく読もうと一枚貰おうとしたら、「作るのに結構お金掛かってるんだよね」と冗談混じりに言う。「大事にしてよね、心を込めて作ったんだから」という気持ちが伝わってきた。

久しぶりに6時半に目覚ましを掛けた翌朝。最早懐かしい道を通って高校まで送って行った。ビラの束を持って車を降りて行くRiki。

1時間後。「ごめん、また迎えにきてくれる?」の電話。

ちょっとだけ面倒臭かったけれども、またハンドルを握った。

迎えに行って、「どうだった?」 聞いた。

「うん… 配り終わって、帰りがけに、ふと見たらさ… 沢山のチラシが道に捨てられていたよ…」

助手席に座るRikiを見た。俯いた横顔の、その眼が悲しそうだった。

「そんなもんだよね…」

と呟くRiki。

「うん、そんなもんだよ…」

としか返事ができなかった。

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by kotaro_koyama | 2022-09-15 11:39 | イタリア暮らし | Comments(0)

主夫と生活、ゴルフのこと。


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