7月24日、日曜日。
前日からお腹を壊して、夜中じゅう時折トイレに行く。午前2時、3時半、4時… もしかしたら、タルタルばかり食べたせいかもしれない。グルメレストランだけじゃなくて、初日、ゴルフ場のレストランでも牛肉のタルタルを食べたことを思い出す。なんか熱が上がるような予感もする。コロナ?いやいや、一昨日の検査で陰性だったからそれはまずないだろう。
午前5時半、同室のイタリアチームキャプテンから整腸剤と下痢止めを貰う。日本の薬。ありがたい。少し安心して、6時15分、ホテルをチェックアウト、出発。
6時半、ゴルフ場。ベルギー、スペイン、ドイツ、イギリス、ルクセンブルク、オランダ、フランス、そしてイタリア。この「ユーロカップ」の参加国の選手たちが、続々と練習場に集まってくる。各国12名だから100人近い。以前、初めて参加した時、その雰囲気にちょっと圧倒されて、ふわふわと試合に入ってしまい、そして最後まで自分のペースを掴めなかったことを思い出す。でも今朝は違った。それは今まで積んできた経験と練習からくる自信なんだと思う。
午前8時。ショットガン(各ホールからの一斉スタート)のサイレンが鳴る。僕を1番ホールに指名してくれたキャプテンの期待と、ちょっとした重圧を感じて、深呼吸。ドライバーを握る。最後まで振り切ることだけを考える。ボールは、昇り始めた朝日へ向かって、綺麗にまっすぐ飛んで行った…
プレーの細かい内容は書かない。他人のゴルフの話なんて猫も食わないのだ。ただ言いたいのは、今回はチーム戦だったということ。個人の順位もつけられるのだけれど、まずはチーム。12名のうち、上位8人の合計スコアが問われる。「この一打」が自分の為だけではなく、他のホールで頑張っている仲間にとっても大切な一打であるということ。その責任と緊張感は、普通の個人戦とはだいぶ違う。特にショートゲーム。ロブショットを打たなければいけない場面。そしてバンカーショット。「無理してホームランしたらどうしよう。あの打ち方、沢山練習したからできるはずだけれど、でも… 出るだけでもいいか…」
途中、何度も訪れた苦しい状況。その度に、Keiが明け方にくれたメッセージを思い出して自分を勇気づけた。
"In bocca al lupo. Spacca tutto!"
頑張って。他の皆をやっつけちゃえ。パパならきっとできる!みたいな意味… そうだ、今の僕ならできるはず!
18番ホール。最後のパットを終えた時は正直ホッとした。9オーバーの81。目標だった70台には届かなかったけれども、まあ自分の責任は果たせたと思ったから…
昼食を取りながらの表彰式。チーム戦結果の発表。まずは最下位から… ルクセンブルク。そして、次にスペインの名前が呼ばれると、イタリアチームから歓声が上がった。皆、思うようなプレーができなくてダントツ最下位を覚悟していたのである。
優勝したのは、前回に続いてフランス。元大学ゴルフ部とか、一時はプロを目指しました、なんて言う若手もいるらしい。しばらく彼らの黄金時代が続くかもしれない。
続いて、個人戦の結果も発表された。僕は2位だった。そりゃ幸せだったけれど、でも、イタリアが最下位にならなかったことの方が嬉しかった。個人で優勝された方との差は3打だった。自分のプレーを振り返ってみる。あの馬鹿な3つ4つのミスをしなければ、縮められた差だ。でもそれが今の僕の実力なんだと思った。今の僕に足りない、3打。
しばらく休んだら、その差を無くすべく、また練習しようと誓った。

午後10時半。フィレンツェ空港へ着陸。
エールフランスのお姉さんが美人だった。笑顔がとても素敵だった。
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