付かず離れず

ちょっと落ち込んで学校を休んだ後、Rikiはまた元気を取り戻したように見える。彼の心の中では浮き沈みがあるのかもしれないが、僕たち家族にはそれを見せない。

余計なお節介をしないよう、僕は、近くに居ながらも少し距離を置いて見守るようにしている。

思春期特有の心の揺れ、なのだろう。ただ側から見ていると、問題の一つは「自信」なのかな、と思う。学校での成績は悪くはないが、かと言って飛び抜けている訳でもない。彼女が欲しいけれど(たぶん)、彼女がいるわけでもない。いくつかの事に興味があるけれど、特別熱中できるわけでもない。何かに手を出しても、なかなか自分の思う通りに上達しない。何故だかバレーボールが好きになったけれど、背が高い訳じゃない。運動神経抜群でもない。天賦の才能はともかく、努力をしないだけ、とも言える。自信は、努力をして勝ち取るものである。でも強いモチベーションがなけければ、努力する気も起きないだろう。じゃあそのモチベーションは何処から生まれるのか...?

そんな息子だけれど、ゴルフには少しだけ自信をつけてきたようだ。落ち込んでいた頃、僕はあえて黙っていたけれど、自らレッスンの予約をして、曲がりなりにも練習を続けていた。僕に言わせれば練習の回数はとても少なく、「努力」には程遠いけれど、少なくとも「継続」だけはしていた。そして見違えるほどに上達している。

昨日、10日ぶりに一緒にラウンドをした。案の定、飛距離は僕とまったく変わらなくなっていた。時にドライバーで僕を超すと実に嬉しそうだった。悪いショットの数が極端に減った。そして3つもバーディーを取ってガッツポーズをしていた。とは言え、思う通りに行かない場面ももちろん多々あった。

「あーぁ、僕、なんでこんな変なスポーツ始めちゃったんだろうねえ!」

笑いながらRikiは言う。ゴルフは実に不公平だ。ナイスショットがいいスコアに結びつくとは限らない。努力をしてもなかなか数字に表れない。ちょっと上達をして自信をつけても、それをあっけなく崩される理不尽なスポーツである。

今年は、ジュニアの試合に年間を通して参加する予定になっている。12月に16歳になってしまったから、U-18のカテゴリーだ。イタリア人の子供達と比べたら、ただでさえ発育が遅いのに、一番の年下という訳だ。ハンディキャップ一桁の奴が大勢いる中で、勝負はスクラッチだ。恐らく順位表の下の方をうろつくことになるに違いない。ちょっとだけついてきた自信が崩壊するかもしれない。悔しくて、もしかしたら自ら練習量を増やすかもしれない。いや、ゴルフが嫌いになってしまうかもしれない... どんな結果になるにせよ、願わくば、自分なりの目標を立てて、それに向かって少しずつ努力を積み重ねることを学んで欲しいと願っている。目指すべき山がエベレストである必要はないのだ。

最初の試合は、2月下旬だ。

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Commented by Keiko at 2020-01-31 05:05 x
>なんでこんな変なスポーツ始めちゃったんだろうねえ!
ゴルファーなら誰しも口にする言葉ですね。

モノクロの写真、素敵です。
そして、Rikiがクラブに手をかけて余りカチャカチャと音がしないようにしているのが日本人らしいなぁと思いました。
Commented by kotaro_koyama at 2020-02-03 20:17
> Keikoさん
リキの場合、始めたと言うよりはいつの間にかやらされていた、なんですけどね。一応、自らやっている意識はあるようで...
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by kotaro_koyama | 2020-01-30 19:05 | 子育て | Comments(2)

主夫と生活、ゴルフのこと。


by kotaro