帰り路
2019年 11月 17日
"Com'è andata oggi a scuola?"
学校から家まで、車で20分。朝は寝ぼけて目を閉じていることが多い息子だが、「今日はどうだった?」放課後の車の中、そう聞くと、帰り路では笑顔で色々語ってくれる。もうここ数年来、彼の宿題を見ることもない。ノートを覗くこともない。学校の面談にも行かない。でもこの20分の間、車の中で、勉強について行けているのか、友達とうまくやっているのか、はだいたい分かる。
この日は心理学の授業で、「好きな植物を選んで、それを自分に見立てて詩を書きなさい」と言う題があったという。一番多く選ばれたのはオリーブの木。さすがイタリアだ。変わりどころではマグノリア、なんていうのもあったそうだ。
「へえ。で、Rikiは何を選んだの?」
「僕はね、Salice Piangente」
「お!」
Salice Piangente -しだれ柳 - は、Rikiの木である。今の家へ引っ越してきた時、子供たちそれぞれに好きな木を選ばせて植樹をした。Keiは桜の木、Mahoにはりんごの木、そしてRikiが選んだのがしだれ柳だったのである。Salice Piangenteというイタリア語を直訳すると、「泣く柳」という意味になる。
「それで、どんな詩を書いたの?」
「えっとね...
Il Salice si nasconde dietro i suoi lunghi rami, senza mostrare ciò che c’è dietro.
Fuori mantiene le foglie verdi e non rivela lo sforzo per superare l’inverno.
Proprio come lui, spesso nascondo le mie emozioni e, anche nei periodi più difficili, provo a rimanere “verde”.
Ma il Salice, se lo guardi bene, piange.
柳は、その長い枝の影に隠れる。本当の自分を見せずに
表では緑の葉を保ち、冬を超すための努力を呈することはない
まさにその柳のように、僕も自分の心内を人には知らせない そして、どんなに辛い時でも「緑」であろうとする
だけど柳の木だって、よく見れば、泣いているんだ
「ふぅん、とてもいいね!」
ちょっと短いな、とは思ったけれど、心から良いと思った。そうコメントすると嬉しそうに笑った。
いつもニコニコ笑顔の君だけれど、もちろん泣きたいことも、泣くこともたくさんあるに違いない。親の僕は、君のすべてを把握しているつもりで、そして僕の前では全てをさらけ出して良いんだよ、という態度で接しているけれど、まさにその"泣く柳”のように、辛く悩める時、僕の前でも緑であろうとするのかもしれない。
冬を前に、庭で寂しそうに揺れる柳の木を見ながら、Rikiの詩を読み直した。
Commented
by
Jacqueline
at 2019-11-17 00:39
x
本当に素敵な詩ですね☆(๑´ڡ`๑)
さらに、泣きたいような時でも変わりない緑に見せようとしているという内面を、正直に言葉で表している素直さが、とてもよいですね〜。
kotaroさんが記す文章でのみ知るRikiくんですが、やさしくて素直に育っている男の子なのだなあ、と好感が持たれますね♪(*^^*)
さらに、泣きたいような時でも変わりない緑に見せようとしているという内面を、正直に言葉で表している素直さが、とてもよいですね〜。
kotaroさんが記す文章でのみ知るRikiくんですが、やさしくて素直に育っている男の子なのだなあ、と好感が持たれますね♪(*^^*)
1
Commented
by
Keiko
at 2019-11-17 19:28
x
Commented
by
econe
at 2019-11-18 12:43
x
すごく、いいですね。
なんかじんわりきます。
なんかじんわりきます。
Commented
by
kotaro_koyama at 2019-11-19 03:28
> Jacqueline さん
「詩」と呼べる形式ではないような気もするのですが、教室でパッと書いた割にはなかなか味がある文章だと思いました。「やさしくて素直」すぎて、時々ちょっと心配になります。もうちょっとワルにならないと、って... 笑
「詩」と呼べる形式ではないような気もするのですが、教室でパッと書いた割にはなかなか味がある文章だと思いました。「やさしくて素直」すぎて、時々ちょっと心配になります。もうちょっとワルにならないと、って... 笑
Commented
by
kotaro_koyama at 2019-11-19 03:30
> Keikoさん
ありがとうございます。アジアの顔して、イタリア人として育つ中で、僕には理解できない苦労もあるのかなあ、泣きたいこと、親に言えないことあるんだろうなあ、って思ったのでした。
ありがとうございます。アジアの顔して、イタリア人として育つ中で、僕には理解できない苦労もあるのかなあ、泣きたいこと、親に言えないことあるんだろうなあ、って思ったのでした。
Commented
by
kotaro_koyama at 2019-11-19 03:30
> econeさん
ありがとう!じんわり、が嬉しい褒め言葉です。
ありがとう!じんわり、が嬉しい褒め言葉です。
by kotaro_koyama
| 2019-11-17 00:12
| 子育て
|
Comments(6)