運転免許の更新に行きました。ACIという、日本のJAFみたいな会社で代行手続きをしてくれます。

3週間ほど前、その事務所にお医者さんがいる日を予約しに行ったのです。その時はまだ右足に例の頑丈なサポーターを装着していたんです。そうしたら受付のお兄ちゃんが、「それ、ちょっとまずいかも。それつけたままドクターに会うと多分免許更新の許可下りないと思うよ... え?もうすぐ取れるはずなの?じゃあ免許証が切れるギリギリの日にしておこうよ」

その予約の前日、つまり免許が切れる前日。事情を説明すると、整形外科医の先生は「まだちょっと早いけれどサポーター外して、運転できると思うなら運転していいよ」と言いました。そんなアバウトでいいのかな、って思ったけれど、よく考えてみればそのいい加減さが有難い。恐る恐る膝を曲げて、運転席に座ってみました。しばらくアクセルとブレーキの踏み替え、そして特に急ブレーキの練習をしてからエンジン始動。約一ヶ月ぶりの運転だったけれど特に問題はありませんでした。でも、車から降りて歩くとなると、普通には歩けない。この歩き方をドクターに見られたらまずいな... 整形外科医の先生には、まだ片方松葉杖を使って歩きなさい、と言われているけれど、松葉杖を使って行くのはまずいだろう...

運転そのものよりも、いかに普通を装って歩くか。当日、ちょっと緊張しながらドクターの待つ部屋へ入りました。ゆっくりゆっくり、なるべく普通に歩いて...

まずは目の検査。問題なし。するとドクターが、

「健康に問題はないかい?身体は元気?」って。

「あ、はい...」

ちょっと後ろめたい気持ちで返事をすると、僕の大きな不安と心配をよそに、すべての手続きがものの3分ほどで終わってしまいました。再び、なるべく普通を装って席を立ち、診察室を後にしました。

その夜、池袋の交通事故で奥様と小さな娘さんを亡くされた男性の記者会見を見ました。「各ご家庭にそれぞれ事情はお有りでしょうが、でも、少しでも運転に不安があるのなら...」その震える言葉を聞いて、僕はなんだかとんでもない大きな嘘をついてしまった気持ちになったのでした。

今、運転をすることに支障はないけれど、男性の言葉を胸に、毎日身が引き締まる思いでハンドルを握っています。


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Commented by Keiko at 2019-05-01 21:56 x
kotaroさんのケースは単に時間の問題であって、
普通はなんの支障もない健常者でおられるのだから後ろめたさは必要ないと思いますよ。
飽きるほどイタリアに住んでおられてもやはり骨の髄まで日本人ですね。(笑)
Commented by kotaro_koyama at 2019-05-02 14:08
> Keikoさん
僕はかなりいい加減な人間なんですよー!
Commented by Toruberlin at 2019-05-09 17:37
おはようございます。6週間の帰国からベルリンに戻ってきました。日本では痛ましい交通事故、多いです。52&62歳の女性が運転する車の事故で一台が信号待ちしてた幼稚園児の列に突っ込みました、、、。
後ろめたい、って気持ち、わかります。
でも、そう思う気持ちが常に大事なんだと思いまする。
運転が得意で健常者だって、一瞬よそ見したりしたら起こり得る事故、お互いに気をつけて生きましょう!
Commented by kotaro_koyama at 2019-05-10 21:33
> Toruberlinさん
お帰りなさいませ。ほんと、毎日のように心が痛む事故が相次いでいますね...。年齢や健康状態に関係なく、いつ自分が加害者になってもおかしくありません。本当に気をつけて運転したいものです。
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by kotaro_koyama | 2019-05-01 21:16 | イタリア暮らし | Comments(4)

主夫と生活、ゴルフのこと。


by kotaro