母国語
2005年 11月 14日

「Keiちゃん、イタリア語と日本語を混ぜないで話しなさい!」
「…。 どうしてミスキアーレしちゃだめなの?」
外国で子育てをする日本人の共通の悩みは、やはり日本語教育でしょう。両親が日本人でも、しっかりとした日本語を教え込むのは、たいへんな根気と努力が必要です。
バイリンガル環境に育つと、どうしても2つの言葉の間に優劣がつくことは避けられません。少なくとも一時期は、どちらかの言葉が強くなります。子供は、その強い方の言葉をベースにモノを考えているのだと思っていたのですが、そうではないようなのです。Keiに、普段何語で考えているのかと聞くと、しばらく考えた後、
「ごちゃ混ぜ」
そう答えます。
ボクの友人に、5ヶ国語を話す女の子がいます。イタリア語、フランス語、英語、日本語、スペイン語。どの言葉もたいへん流暢ですが、あえて優劣をつければ、イタリア語とフランス語が優れています。ですから、彼女はその2ヶ国語をベースにモノを考えているのだろうと想像していました。でも、彼女にしても、何語で考えているかはわからないといいます。
「わたしにとって母国語ってないんだよね」
「ウザイ!」って言葉がありますね。彼女によれば、そのニュアンスは何語にも訳せないというのです。ウザイは、ウザイ。各国のそうした単語が、彼女の頭の中には一杯詰まっているんですね。「文法的には」、その瞬間、ベースとなっている言語があると想像するのですが、無意識のうちに、あまりにも素早く言葉が入れ替わるために、何語で考えているか分からないのでしょう。この友人と話す時は、イタリア語と日本語と英語が次々に入れ替わって、ついていくのがたいへんです。
Keiにとって、友達はアミーチ。先生は、マエストラ。宿題は、コンピティ。日常生活に根ざした言葉ほど、あえて訳す必要がない、訳せないわけです。彼女の母国語は、イタリア語と日本語のミネストローネ。出来ることなら、具のバランスがとれた、美味しい一品に仕上げてあげたいと思うのですが…。

バイリンガルの子供たちって、言葉の響きやその意味合いによって、言語を選びますよね。ユキちゃんも抱っこして欲しい時には、Voglio DAKKO ~!!です。「抱っこ」という言葉は響きが好きなようで(笑)。最近はイタリア語中心ですが、その中にチョットずつ日本語も混じります。AKACHAN、FUWAFUWA、KAWAIINE~。両方をしっかりと話せる用意なって欲しいんですけどね。
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「抱っこ」という単語の、その温かい響きを、ユキちゃんは肌で感じているんですね。なんか、いいなぁ。
by kotaro_koyama
| 2005-11-14 00:11
| バイリンガル
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Comments(2)