食育
2010年 10月 26日
「君たちウサギは食べるんだっけ?」
行きつけの肉屋がそう聞いてきた。うん、もちろん食べるよ。最近買っていなかったけれど。
「"俺の"のウサギがあるんだけど、どうだい?我が家で大事に育ててシメた奴だ」
へえ、もちろん!この親父、時折フツーの流通ルートに乗らない物をくれるのだ。自分で狩りをしたイノシシの塊肉を思い出す。何故だか無料でくれたあの肉、美味しかった。そのウサギ、いますぐあるの?
「いや明日持って来てやる」
じゃあ明日の朝来るからお願いね。楽しみだなあ。
その夜の食卓。みんな、明日はね、ウサギ料理をするよ。肉屋さんが自分の家で育てた奴なんだってさ。
「え〜、それで殺しちゃったの?かわいそう・・・。わたし、自分で育てたウサギを殺して食べるなんて絶対に出来ない」
とウサギ年のKei。うん、その気持ちとってもよく分かるよ。でもKeiちゃん、血の滴るステーキとか鳥のローストとか大好きでしょ。あれは、どこでどうやって育てられた動物が肉になったんだっけ?ろくに陽も当たらない狭い籠や柵の中に押し込めて、太らせて、殺して肉にするよりもさ、自分の庭で自然に近い環境で育ててあげた動物を有り難く頂戴する方がいいんじゃない?そりゃパパだって鶏とか自分の手でシメたことないから偉そうなこと言えないけれど・・・。そもそもさ、人間が家畜を飼い始めたことがズルいんじゃない?道具や武器を使って自然を押さえつけるボクたち人間はズルいのさ。ほら、ケニアでライオンを見たじゃない。肉食動物はどうやって狩りをしていたっけ?使うのは自分の爪と牙だけだ。毎日好きな時に肉にありつけた訳じゃなかったよね?だってスーパーに肉が並んでいないんだもん。人間だって、大昔は狩りに行っていたわけだ。昔々は、人間だってきっと素手だけで空腹を満たしていたんだ。それがいつしか道具や火を発見して・・・
あ〜、またパパのなが〜い話が始まっちゃったよ・・・
翌朝。
肉屋の親父が奥から大事そうに抱えて来たウサギは、いつも店先に並んでいる奴とは明らかに違った。実に大きな体だ。太っているのではなくて、筋肉隆々なのだ。前足の付け根部分の逞しさが際立っている。きっと青空の下を元気に跳ね回っていたのだろう。量りに乗せると2kgを越えていた。普通のウサギの倍はある。
「ブツ切りにすればいいだろ?頭はいる?」
バシッと包丁が入る。いや、頭はいりません・・・
「トマト味にするのかい?」
いや、シンプルにいこうかと。白ワインを少し使って。人参を少しいれて甘みを出して。
「それがいい、それがいい」
帰り道、袋がずっしりと重い。間違いなく二食分はある。余ったらトマトを加えてパスタにすればいい。
お気に入りのテラコッタ鍋を使うことにする。庭で摘んだローズマリーにニンニクが欠かせない。時間をかけて丁寧に火を通す。最初は蓋をして1時間半。そして蓋を取り、温度を少し上げて焼き色をつける。うん、いい出来映えだ。美味しい。
さあみんな、早く帰っておいで。今日のお昼は特別だ。
行きつけの肉屋がそう聞いてきた。うん、もちろん食べるよ。最近買っていなかったけれど。
「"俺の"のウサギがあるんだけど、どうだい?我が家で大事に育ててシメた奴だ」
へえ、もちろん!この親父、時折フツーの流通ルートに乗らない物をくれるのだ。自分で狩りをしたイノシシの塊肉を思い出す。何故だか無料でくれたあの肉、美味しかった。そのウサギ、いますぐあるの?
「いや明日持って来てやる」
じゃあ明日の朝来るからお願いね。楽しみだなあ。
その夜の食卓。みんな、明日はね、ウサギ料理をするよ。肉屋さんが自分の家で育てた奴なんだってさ。
「え〜、それで殺しちゃったの?かわいそう・・・。わたし、自分で育てたウサギを殺して食べるなんて絶対に出来ない」
とウサギ年のKei。うん、その気持ちとってもよく分かるよ。でもKeiちゃん、血の滴るステーキとか鳥のローストとか大好きでしょ。あれは、どこでどうやって育てられた動物が肉になったんだっけ?ろくに陽も当たらない狭い籠や柵の中に押し込めて、太らせて、殺して肉にするよりもさ、自分の庭で自然に近い環境で育ててあげた動物を有り難く頂戴する方がいいんじゃない?そりゃパパだって鶏とか自分の手でシメたことないから偉そうなこと言えないけれど・・・。そもそもさ、人間が家畜を飼い始めたことがズルいんじゃない?道具や武器を使って自然を押さえつけるボクたち人間はズルいのさ。ほら、ケニアでライオンを見たじゃない。肉食動物はどうやって狩りをしていたっけ?使うのは自分の爪と牙だけだ。毎日好きな時に肉にありつけた訳じゃなかったよね?だってスーパーに肉が並んでいないんだもん。人間だって、大昔は狩りに行っていたわけだ。昔々は、人間だってきっと素手だけで空腹を満たしていたんだ。それがいつしか道具や火を発見して・・・
あ〜、またパパのなが〜い話が始まっちゃったよ・・・
翌朝。
肉屋の親父が奥から大事そうに抱えて来たウサギは、いつも店先に並んでいる奴とは明らかに違った。実に大きな体だ。太っているのではなくて、筋肉隆々なのだ。前足の付け根部分の逞しさが際立っている。きっと青空の下を元気に跳ね回っていたのだろう。量りに乗せると2kgを越えていた。普通のウサギの倍はある。
「ブツ切りにすればいいだろ?頭はいる?」
バシッと包丁が入る。いや、頭はいりません・・・
「トマト味にするのかい?」
いや、シンプルにいこうかと。白ワインを少し使って。人参を少しいれて甘みを出して。
「それがいい、それがいい」
帰り道、袋がずっしりと重い。間違いなく二食分はある。余ったらトマトを加えてパスタにすればいい。
お気に入りのテラコッタ鍋を使うことにする。庭で摘んだローズマリーにニンニクが欠かせない。時間をかけて丁寧に火を通す。最初は蓋をして1時間半。そして蓋を取り、温度を少し上げて焼き色をつける。うん、いい出来映えだ。美味しい。
さあみんな、早く帰っておいで。今日のお昼は特別だ。
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麻
at 2010-10-28 17:08
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kotaroさんのブログには、うちでもよくあるシーンがしょっちゅう出てくるので、可笑しくなることがあります。
そうですよね、生き物を食べるってそういうことです。
そうですよね、生き物を食べるってそういうことです。
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cathy
at 2010-10-29 18:55
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その肉屋のおじさんが抱えてきたウサギは、まさか生きていたんですか?パシッと包丁が入ったってことは。。。コータローさん、子供じゃないけれど私はダメかも(-_-)
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kotaro_koyama at 2010-10-29 19:59
麻さん:よくあるシーン・・・親父の長話かしら・・・???
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kotaro_koyama at 2010-10-29 20:01
cathy: いやさすがに生きてる奴じゃないよ。でもね、頭も目玉もしっかりとついている、皮をはいだだけの奴ね。耳はついていないけど・・・
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kishie
at 2010-10-30 20:13
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96才でいまだ現役、190本のオリーブの木を育てべスパに乗るおじいちゃんを筆頭にウンブリア親子3代狩人のプラチディ家に嫁いで早数年。彼らは主にトリ系専門。寝ぼけ眼で開けた冷蔵庫に小鳥ちゃん、そんな光景に驚かなくなりました。狩猟に対する価値観、命を頂くありがたみ、門前の小僧、勉強中であります。この時期は草カルチョにCacciaにと多忙な奴。今日も私は労働です。是非我が家でcacciagioneお招きしたいわぁ。作るのは彼ですが。
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kotaro_koyama at 2010-11-03 19:52
kishieさん: 冷蔵庫の小鳥ちゃんはまだ毛がついてる奴かしら?いつかご馳走になりたい。狩猟見学にも行ってみたいなあ!
by kotaro_koyama
| 2010-10-26 16:41
| イタリア暮らし
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