Maho20歳、Kei17歳、Riki12歳。イタリアで、一部ニッポンで、スクスク成長中。
by kotaro
イタリアで暮らすということ。
6月11日
朝10時、玄関のブザーが鳴る。窓から顔を出すと、いつものPOSTINO(郵便配達のおじさん)。一瞬、交通違反通知の書留かと思うが、小包受領のサインらしい。ホッとして出て行く。ところが、このポスティーノは何やら困った顔で、携帯電話を手に誰かと話をしている。A3ほどの大きな茶封筒の裏に添付された「請求書」を指差しながら。

その請求書、見ればイタリア税関からのもので、その額なんと50ユーロ(約8000円)。覚えのない小包の宛名は、"Riki Koyama"。送り主はバンコクに住むボクの友人だった。そうだ、この友人とツェルマットへスキーに行った時、Rikiが嬉しそうな顔で何やら約束をしていたっけ。

請求書にはcontro assegnoと記されている。つまり小包を受領するならその金額を払わなければならないらしい。商品購入の代引きとはちょっと訳が違う。尋常ではない金額に驚いたおじさんは、本当に金銭を受領して良いのか、念のため上司に確認の電話をしていたのだ。彼が電話をしている間、ボクは聞く。

"Posso aprire?"  (開けてもいい?)
"Sì sì"  (いいよ)  *脚注:本当はその50ユーロを払うまで開けてはいけないはず

とポスティーノ。ビリビリと袋を開ければ、中からはスパイダーマンのリュックサックが。友人からRikiへのプレゼントだ。

"Scusami ma devo pagare 50 euro per questo??? Per che cosa? Qui c'è scritto IVA..."
(ねぇ、ここには付加価値税20%として50ユーロって書いてあるけれど、このおもちゃのリュックにってこと???)

"In Italia succedono tante cose strane..."
(イタリアじゃぁヘンなことがたくさん起こるからなぁ・・・)

と両手を広げるポスティーノ。結局、電話の相手の上司も判断を下せない。やさしいポスティーノは、『とりあえずこの請求書は持って帰って確認するよ。また明日ね』と言い残して去ってしまう。小包は僕に渡したまま。
*脚注:彼の仕事の流れとしては、支払いがされていないのに小包みを置いていってはいけないはず

友人からの手紙を読めば、Rikiとの約束はタイでお守りとして流行っているという小さな人形だった。ただ、この友人は約束が遅くなったお詫びに、おまけにリュックサックまで送ってきてくれたのだった。
幼稚園から帰ってくると、スパイダーマンのリュックを背負っておおはしゃぎのRiki。理不尽な請求の行方に心穏やかでないボク。

6月12日

朝9時30分。例のポスティーノが来る。 『昨日のアレ、やっぱり支払ってもらわないといけないんだよ・・・』

『でもおかしいよ。だって商品価値に290タイバーツ(5.63ユーロ – 900円)って明記してあるのに、どうして付加価値税に50ユーロも払わなきゃいけないわけ!? バーツとユーロを勘違いしたんじゃないの? どこの誰に文句言えばいいの?』 とボク。

するとこのポスティーノ、『OK、じゃあ明朝オフィスに来てくれる?上司と一緒に相談しよう』

6月13日
朝8時30分、郵便局集配所へ出向く。あのポスティーノを探す。すぐに彼が上司と共に姿を現す。周囲にいた郵便局のおじさん達が野次馬のように集まってくる。事情を知ると、皆口を揃えて、
『う~ん、確かにおかしいねぇ。でもさ、イタリアってこういうことが起こる国だから・・・』
『どこの誰に文句を言えるかって?う~ん、そりゃ"国"に対してだねぇ。税関って言ったって、連絡先分からないしなぁ』 と埒が明かない。

郵便局長曰く、この時点でボクの選択肢は2つだけ。50ユーロを支払って小包を受け取るか、支払いを拒否して送り主へ送り返すか。う~ん、リキはもう大喜びしちゃってるしなぁ。友人に送り返すのは・・・。でも、イタリア税関に文句も言えず、黙って50ユーロ払うのも解せない!黙っていると、皆に見つめられ、判断を迫られる。
『仕方ない、払います。でも支払いの控えを頂戴。不可能だとは思うけれど税関に文句を言ってみるから』

渋々財布を開いた後、街の郊外にあるという税関事務所に向かう。無駄を承知で。でも、運転しながら、気づいたのだった。
『あ!他の物を入れてまた封しちゃえばいいんだ』

だって、本来受け取り拒否したのであれば、それは受領(開封)する前のはずだ。代わりに新聞紙か何かを入れてもいいとさえ思ったけれど、それでは内容に『バックパック』と書いた送り主が嘘つきになってしまってまずい。そうだ、他の使い古しのリュックを入れちゃおう。 あわててまた郵便局へ引き返すボク。

d0036978_22572558.jpg『もう支払い処理しちゃった?』
『まだだけど?』
『いや、あの、やっぱり受け取り拒否して送り返そうかと・・・』

すると僕の嘘に気づいてか、疑わしい目で僕を見つめる事務のおじさん。

『いや、正直に言うとね、他のリュックを入れて送り返そうかと。スパイダーマンのリュックがなくなったら息子は泣いちゃうからさ・・・』

『いやぁ、それはちょっとまずいな・・・』

『でも、誰にも分からないでしょう?税関で開封した形跡だってなかったし。僕があなたに本当のこと言わなくてもよかったんだし』

すると、それを横で聞いていたおばちゃんがしゃしゃり出てきた。

『そうよ、私達しか知らないじゃないの。何の問題もないわよ!』

心強い援軍を背後に、ボクは家へ引き返す。家中をひっくり返し、同じような重さのリュックを探す。でも適当な物がない。仕方なく、布製のトートバッグを入れることにする。そして、(トートバッグもバックパックも似たようなだろ?)と自分に言い訳しながら、ビリビリに破いてしまった袋をまたセロハンテープで丁寧に張り合わせ、郵便局に戻り、さっきのおじさんに手渡したのだった。50ユーロを返してもらい、握手をして別れる。

薄汚れたトートバックの行方やいかに。
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by kotaro_koyama | 2008-06-13 23:30 | イタリア暮らし
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