アタマがあるなら・・・

アタマがあるなら・・・_d0036978_63152100.jpg日経NETで、こんなコラムを読みました。

「日本人はバカになったのか?」遥洋子

マニュアルに沿ってでしか動けない日本人が増えて、まともなコミュニケーションが取れなくなってきていることを嘆いておられる訳ですが、この遥さんのような経験、多かれ少なかれ誰でも味わっているのではないでしょうか。特に大手チェーン店などで働く店員さんは、何も考えずマニュアルに沿って動いている人が多くて、ボクも日本へ帰る度に、びっくりしたり、がっかりしたりします。みんな笑顔で挨拶をしてくれ、丁寧に注文を繰り返してくれたりしますが、そこからはまさに「個性」と「会話」が消滅しています。

マニュアルや決まりを作って、それを守ることは、社会や組織を効率よく運営していく上で大事です。でも日本の場合、その中であまりにも個人の意志や考えが打ち消されているのが問題だと思うのです。いえ、真の問題は「自分の頭で考えない」人が増えていることでしょうか。マニュアルに書かれていないことを要求された時に対応できない、自分の頭で判断することができない人があまりにも多いのです。

日本の子供たちは、こちらの言うことを、おとなしく、よく聞いてくれます。でもそれは、「言われないとできない」「言われたことしかできない」ことの裏返しでもあるようです。そんな子供たちがいつしか、自分の頭を使って判断することができない、マニュアル人間になってしまっているような気がするのです。


イタリアに暮らしていると、日本で生活するよりもより「生きている」実感がします。それは外国人としてある一定の緊張感を持って暮らしているからかもしれませんが、ここでの日常生活には「コミュニケーション」が存在するからだと思うのです。とは言っても、別にレベルの高い会話を毎日交わしている訳ではありません。ただ、イタリアでは「個」と「個」のぶつかり合いを日々感じ取ることができるのです。イタリアにだってマニュアルに沿って働かなければいけない人がたくさんいます。でもここでは、それを超えてそれぞれの個性が押し出されているのです。

イタリアという国やイタリア人には、がっかりさせられたり、怒りを覚えたりすることが実に多いです。マニュアルに従い、組織を作るのがとても下手な国民です。でも、個々の「適応力」に関しては、間違いなく日本人より上でしょう。不測の事態に動じず、自分なりに頭を働かせて問題を解決することに関してはかなり優秀なのです。もっとも、こんな予測不能の国で生まれ育ったら、そういう人間にならざるを得ないかもしれませんが。

オトナしい子供たちが、マニュアル人間になって、組織を円滑に運営する日本。
オトナの言うことを聞かない子供たちが、個性豊かに成長して、組織が機能しないイタリア。

我が子供たちはどんなオトナに・・・
Commented by R_bridge at 2007-12-27 23:24
ここ最近の記事は考えさせられるものが多いですね。
子育てをしながらいろいろ考えます。手を差し伸べるべきか、ぐっとこらえて本人に解決させるべきか。自分なりに頭を働かせて問題を解決する練習は小さな頃からしていたほうがいいですよね。わが身を振り返ると大学生になって初めて一人暮らしを始めたその経験が今の自分を作っているように思います。
Commented by noi at 2007-12-29 16:16 x
はじめまして。
大学2年のnoiと申します。
昨日ここのblogを見つけてほとんど全部見てしまいました。
keiちゃんの動画がかわいくて、親にまで転送してみてもらいました笑
親子で感動♪何回見てもかわいいし、発音もすっごくきれいですね。
大人びたしぐさもとてもキュートです(*^-^*)v
外国語を学ぶのが好きで、帰国子女には憧れているので、
バイリンガルのところや子育ての話は特に興味深くておもしろかったです。

それから、こどもを本当にかわいがっていて、お父さんが子育てに
しっかり参加してるのも分かってうらやましく思いました。

イタリア語は、中1の時から細々と勉強しているのですが、
ここに書いてある会話は、本場☆って感じでとてもかっこいいです。
また、機会があったらぜひ動画が見てみたいですっ。

長くなってすみません…。
楽しいブログをありがとうございます♪
Commented by kotaro_koyama at 2007-12-29 18:15
R_bridgeさん>ほんとその通りです。子供にすぐ手を差し伸べるのは、ある意味とても簡単ですよね。そして親はそうしてしまいがち。でも、それをがまんしないと。子供それぞれの年齢にあった、つかず離れずの上手なサポートができればと思います。
Commented by kotaro_koyama at 2007-12-29 18:18
noiさん>いえいえ、長いコメントどうもありがとう。長くて嬉しいです。中学の時からイタリア語を勉強しているなんてスゴいなぁ。外国語を学ぶのは根気がいるけれど、がんばってくださいね。リクエストにお応えしてまた動画で遊んでみます。
Commented by lacasamia3 at 2008-01-04 03:03
新年明けましておめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願いします。↑この記事、私もネットで読みました。ありえないよな~、と思いながら読んでいたけれどきっとこういうことあるんでしょうね、今の日本では。13年以上イタリアに住んでいて、こうしてたまに日本の事情を耳にすると、私が住んでいた頃とはまた変わってきたのだなあと実感します。イタリアも日本もどっちもどっちですが、イタリアの方が応用力があるかもね。
Commented by kotaro_koyama at 2008-01-04 04:01
chihoさん>Buon anno nuovo、こちらこそ今年もどうぞよろしくお願いいたします! いやぁ、この記事みたいなやりとり、結構あるんですよ。ちょっと信じられないですが。日本、イタリアそれぞれの良い所悪い所を考えるたび、ほんと、「どっちもどっち」って思っちゃいます・・・。
Commented by net-f at 2008-01-10 00:17
一番がっかりしたのは、もう何年前になるのでしょうか?中国の日本大使館での脱北者達の命がけの大使館駆け込み事件。ほぼ同時にアメリカ大使館でも同様の事があったけど、アメリカ人は中国政府に断固として引き渡さなかったとか。大使館に勤務する優秀な人達。世界観を持った常識な人達がマニュアルでの行動しか取れなかったのは今でも情けない気持ちになってしまいます。常に人間らしく行動したいものですね。
Commented by kotaro_koyama at 2008-01-10 01:58
net-fさん>ぅむ~、そんなエピソードもありましたか・・・ 日本人の「固さ」って、基本的にはすばらしいと思うんですけど、時と場合によって目と耳を疑う行動を引き起こしますよね。個人の信念や常識に従うべき時には殻を破らなきゃいけないのに、「規則だから」って・・・。アタマは使わなきゃ。
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by kotaro_koyama | 2007-12-24 06:39 | 比較文化 | Comments(8)

主夫と生活、ゴルフのこと。


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